ファンからの寄稿文
「40周年に思う、佐野元春のこと」

40年間の収穫

小野啓生

 コロナ禍に沈む、この世界で我が人生の師、詩人、アーティスト佐野元春は40周年アニバーサリーを迎えている。

 予定されていた祝祭のライブツアーは取りやめになり、本人の落胆はいかほどか…心中察するに余りある。

 そんな中、発せられたメッセージ・フレーズ『Save it for a sunny day』、流石だ、素晴らしい。

 それをタイトルに掲げたプロジェクトの立ち上げ、コンサート開催の代替としてメディアを通じてのアピアランスをラジオ番組、インタビュー等でたたみかけるように展開されているのをファンとして逐一キャッチアップしている。

 40周年に際しての「アニバーサリーイヤーはファンのために捧げる」というコメントを本業のライブコンサートとは別のフォーマットに余儀なくされても、きっちり言行一致でアクトしてくれている。ファンとして感無量だ。

 そしてベストアルバムのリリース。これはコロナの前から企画されていたのだろうが、制作過程に支障があり、遅延したが今、手元にソニー・パブリッシュ版が届いている。早速ブックレットを開くと先日、雑誌で対談したライター室矢憲治氏の文章が最初にある。氏は佐野元春のとくにポエトリー、その文学性に主眼を置く評論家だが文章の最後の箇所に強く惹きつけられた。その引用をもってこの寄稿文のテーマを僕なりに総括したい。

「(中略)ロックンロールとビート・ポエトリー、この誕生の時期を同じくする若者文化の二大キーワード。その片方だけを欠落させたままやり過ごしてきた、この国の植民地文化ハンドラーたちに鞭を<辛辣!>。そして単独でこの道のありかを示し、切り拓いてきた旅人<素敵な表現だ>、佐野元春に花束を。」

 因みに文章には2篇のスポークン・ワーズ楽曲や散文詩からの引用が記されているが、氏のこの詩的表現はあくまで推察であるが、佐野元春のポエトリー表現の影響ないしはオマージュとしての模倣が読みとられる。それは好もしい感化のフローであり、佐野元春が蒔いた豊かな種が大切に共有され、実を結んだハーベストである。当然、私も含めすべてのフォロワーに生起された、40年間の収穫であろう。Thank you a lot !!

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