ファンからの寄稿文
「40周年に思う、佐野元春のこと」

Someday

匿名希望

 いつかどこかで偶然お会いすることができたら、嬉しいな。そしたらなんて伝えよう?

 40年前、ロックなんて何もわからない女の子が、夜のラジオのエンディング、「おやすみ」の一言に胸キュンして行った初めてのロックコンサート。座席の取り方もよくわからずに、前の方の空いていたところをゲットして、喜んだのもつかの間、そこはスピーカーのすぐ近く。爆音で一週間近く耳がジンジンしちゃった。

「こういうのをロックの洗礼とかいうのかしらん?」

 世の中がどんどん変わった80年代。田舎で田んぼの中をとぼとぼ歩く日々。何も変わらない日常を自分で変えることもできず、ただもんもんと過ごしていた頃、雑踏の街を言葉で綴り、音に乗せる世界がとても素敵に思えた。都会の喧騒も、おしゃれなピンヒールもないけれど、歩くリズムだけは一緒・・・そんな風に思った。人間思い込みは時として人を強くするのだ。

 それから・・・しばらく佐野さんの音楽を聴かなくなった。自分を取り囲むすべてのものが目まぐるしく動き、必死でできることをしている間に街も人も音楽も変わった。そして私も。

 今から少し前、ちょっとだけ深刻な病気をした。髪の毛が少し戻った時、ふと懐かしい友達に会いたくなって、出かけたライブ。「友達」といっても誰に会うわけでもないのだけれど。知らない間に男性ファンが多くなっていてびっくり。太い大人の声でかかる「元春!」コール。私の感じる「お友達」を皆、佐野さんに対して持っているのだ。懐かしい曲に加え、知らない曲が沢山!

「こういうのをLike a rolling stone..っていうのかな?」
「何年ぶり?」っと振り返ったら、両手でも足らない時が経っていた。

 そして、ある夏の日。田舎のとあるお店で偶然佐野さんをお見かけした。十代のころ、いつかお会いできたらいいと思っていたのに、本人が目の前に現れると何も言えない。明らかにプライベート時間。大人になった自分はお声をかけるのは申し訳なくてわからないふり。いつまでたっても垢抜けない田舎の女の子は田舎の女の子のままだ。でも、嬉しかった。

伝えたかったのは、
“I’ve got your “Someday” in my heart.

これからもお元気で!

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