ファンからの寄稿文
「40周年に思う、佐野元春のこと」

時を超えて……。

らくガキ

2021年3月13日(土)雨 佐野元春 65回目の誕生日

新型コロナウィルスでパンデミックの状況との巡り合わせ。 お天気は予報通り朝から雨模様。 肌寒く、雨は「春よ来い、早く来い」とせかしている。 午後2時 自宅を出ると風雨は激しく傘は意味がないほど、 上着と靴の中身までびしょびしょ..........。

電車を乗り継いで九段下へ向かう。 無線のイヤフォンにはサブスクリクションからランダムに音楽が流れてる。 現地に着くと雨は傘もいらないほどの小降りになっていた。 坂を上り大きな田安門を前にすると流れっぱなしのイヤフォンから ”ドッパン”と一発!スネアで転がるディランのLike a RollingStone が流れてきた。 おぉ!幸先がいいな!! と,ニヤリと気持ちが舞い上がった。

ゆっくりと歩きながら同じ音を楽しむ同志とこのイベント開催の無事を 司るスタッフのみなさんに心の中で敬意を表し、おまけのTシャツを受け取り、 ひと通りの感染拡大防止手順を経てから場内へと向かった。

今回 チケットには幸運にもアリーナ席のナンバーが記されていた。 実際に席についてみる。最高のロケーション! この日本武道館の大きな玉ねぎのほぼ真下。 舞台はシンプルな骨格。バックに牧野良幸さん製作の タロットカード「太陽」「星」「世界」3種がビッグに掲げられている。

ここにいられる事の奇跡にすでに胸が張り裂けそうだった。 開演の定刻。少し過ぎるとメンバーが定位置に着き 元春が腕を掲げながら現れた。 ギターはキャンディアップルレッドのフェンダーストラトキャスター。 The Coyote Grand Rockestraのサウンドが転がりはじめた!

1曲目はタイトなグルーヴがこのでかい会場の隅々までかき混ぜる、ボーカルが絡む、 「ジュジュ」!! 1989年ナポレオンフィッシュツアーでのあのエネルギッシュで パンキッシュなバージョン!! こう来るのか!Yeah!!!!!!!!! 驚嘆の叫び声をマスクの中に飲み込むみながらシェイク! 続く80年代、90年代の楽曲に舞台を見つめるオーディエンスは ひと席づつ開けられた並びで、 のびのびと揺れながら一気に時間の存在しない、 ただそこにあるビートにときめく心を委ねて舞い上がっていました。

”初期のライヴアレンジでの「HeartBeat」 ブルースハープの音色とあの旋律とコヨーテバンドが奏でる繊細なグルーヴ......。

この街の影に横たわるたったひとつの夢、 ソウルボーイはもう一度答えをさがして たどり着けるまで枯れた野原の向こうへと翔けて行く。”

中盤から後半に向けてTheCoyoteBandと築き上げたサウンドは 颯爽と今,ここの輪郭を強力なグルーヴでなぞり、その先のリアルな夢へと誘う。

80年代中盤に封切られたバック・トゥ・ザ・フューチャーっていう映画の中で、 未来のマーティが過去の世界のダンスパーティーの舞台で まだ誰も聴いたことのないチャックベリーのJohnny B goodeを弾きまくり 若い観客たちが呆然とするシーを憶えている。

未来から掘り当てた宝石を作品やリアルなサウンドに散りばめる。 ぼくらはあっけにとられて笑っちゃうほど心を打たれる。

ぼくは今日までずっとまだ誰も見たことも 聴いたたこともない未来を垣間見ていたのかもしれません。 そして、まさにこの日この日本武道館で過去の佐野元春の作品と 現在の作品のライヴサウンドにあらためて心を打たれると同時に まだこの地上に届いていない星々の光と影、そして再び未来を見ていたんだと思う。

佐野元春デビュー40年! ぼくにとって佐野元春の存在に気が付かない人生はあったんだろうか? 音楽がなかったとしてもぼくの生活はそれなりに過ぎていったのだろうか?。

偶然に生まれ落ちたこの世界でさまよいながらたぐり寄せられたいくつもの必然。 かけがえのない現実、ここまでこれた奇跡の日々。 佐野元春の音楽がぼくにもたらした豊かでしなやかな日々、 そして夢のかけらをあしらった不思議なせつなさと寂しさ......。 それらを今夜あらためて抱きしめていた。

人生の後半戦、先の事は想定通りには行かない事ばかり。 世間にあふれたあてにならない見せかけの情報や生活術 いつだって実際にその時のじぶんでしかわからない事ばかりなんだろうなと思う。

この先を生き抜くわずかなヒントは、いまだにぼくにとって この胸を震わせるリアルなロックンロールとCoolでHipな佐野元春が紡ぐサウンドの中。

会場を出ると、 さっきまでぼくらを打ちのめしていた雨はすっかりやんでいた。 明日の匂いをはらんだ風を感じていた。 リアルな心臓の鼓動を感じていた。 険しい荒地の中に築かれた一本のけもの道を ずっと眺め続けていたじぶんを感じていた。

季節はめぐる。 あぶり出される不条理、すべてが生まれて死にゆく美しき世界。 あなたが切り取ったこの世界のスケッチに 網込まれた歌詩とメロディ、そしてビート。 凶暴なあなたの情熱が埋もれていきそうな確かな景色を導き出し せつない心に繊細にそしてさり気なく幾重にも幾重にも 重なり鳴り響かせる。

時を越えて、誰かのもとで響き合うグルーヴ。 ずっと昔、十代の頃の何もわかっちゃいないぼくは 手探りの十字路の出会い頭で、そっと手を差し伸べられた気がしていました。

これまで過ごした日々、佐野元春が生み出す 素敵なヴィジョンを垣間見れたことが, ぼくの誇りです。

佐野元春キャリア40年!! おめでとうございます!!

この先、まだまだ心の旅は続いていく…。 くれぐれも体調に気を付けて!

心からの大きな感謝と敬意 そして、ささやかな勇気と誠意をこめて、このつたないレポートを提出します!

どうもありがとう‼ Moto!! YEAH!!!! KEEP ON ROCK&ROOOOOOLL!!

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