ファンからの寄稿文
「40周年に思う、佐野元春のこと」

ふんわり居る人

大森みみ

 中学生の頃からいつもそこに居てくれる存在。音楽好きの友達の間では皆「元春兄さん」と呼んでた。他のジャンルやアーティストにも夢中な多感な時期で、熱狂的な兄さんファンでもなかったがラジオから聞こえる声で今日は何曜日かを確認していた。

 いろんな音楽を教えてもらった。ロンドンに20年程暮らして10年前にアメリカ人の旦那と日本に帰って来た。いろいろあった。だけど局を変えても続いてた兄さんの変わらぬ声が「おい、どこに行ってたんだ?」など野暮な質問をするでもなく当時のままふんわり迎えてくれた。

 私が留守にしていた間の作品を聴き出した。兄さんはどんな時の流れでこの20年どうしていたんだろうって知りたくなった。

 私の新しいプロジェクトになった。年代ごとに大事に聴いて自分なりの想像を創造してみる。しかし不思議なことに毎度「たった今」の兄さんが1番好きになる。往年のビックアーティストに感じるあの頃のあの曲という自分の執着や張り付けが一切なく、常に「今」の兄さんが1番好きになってしまうマジック。なんだろ?これ?(笑)この2年も配信される新曲が待ち遠しく何度も何度も聴いてしまう。心踊る。

 プロジェクトの完成に雨の武道館へ行った。どの時代のバンドも好きで、そして今のバンドが1番好き。今の曲が1番好き。今の兄さんが1番好き。佐野元春の今日も更新していくその新しく生まれる「先端」が好きなのだ。そしてね、そう思う自分が1番大好きだ、って思わせてくれた九段下でした。

 そこに居てくれる人。大事な人。一緒に今を生きる事ができて嬉しい。ありがとね、兄さん。私も最先端やるよ(笑)そしてまだまだ続くー!

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